【円筒研削 現場レポート】円筒研削盤におけるワークの駆動方法ってどんなのがある?

こんにちは。今回は、円筒研削盤でワークを加工する際の「ワークの駆動方法」について解説します。

ワークを回転させながら研削する円筒研削盤では、「どうやってワークを回すか?」という点が加工精度や段取り効率に大きく関わってきます。

実際の現場では、ワークの形状や加工目的に応じていくつかの方法が使い分けられています。

この記事では、代表的な4つの駆動方法を取り上げ、それぞれの特徴や適用場面を紹介します。


① ケレ回し方式(ドッグドライブ)

特徴

一般的にワークに「ケレ」と呼ばれるクリップ状の部品を取り付け、それを主軸台(ワークヘッド)側の回転ドッグ(けれ回し)に引っ掛けて回転させる方式です。比較的古くからある方法で、シンプルな構造が特徴です。

メリット・デメリット

✅ ワークがしっかりと回転する

✅ 両方の固定センターの上をワークのセンター穴が回転されるため、真円度がいい

❌ ワークの大きさに応じたケレの準備と段取り替えが必要

❌ ケレをつけたところは研磨加工できない

❌ ワークのセンター穴精度が真円度に影響する

適用例

小~大径のシャフト類や、単品・試作加工などでケレ加工が可能なワーク。


② チャック方式(スクロールチャック/インデンチャック)

特徴

3爪チャック(スクロールチャック)や4爪チャック(インデンチャック)などを使ってワークを直接つかみ、チャックごと回転させる方法です。ワークの多少異なる大きさや形状はチャックで簡単に掴め、ケレも不要です。

メリット・デメリット

✅ 把握力が高く、短尺ワークや重量ワークにも対応

✅ 異形状のワークでも把握ができ、芯を任意に調整できる

✅ 心押台が無くても加工できる

❌ チャックの芯出し精度が、そのまま加工精度に影響

❌ ワーク毎にワーク自体の振れ確認と芯出し作業が必要(多少の熟練作業)

適用例

中空ワーク、短尺ワーク、センター穴が使えない(ない)、重量ワークなど、汎用性が求められる現場。


③ コレットチャック方式

特徴

コレットと呼ばれる弾性スリーブ状の部品でワークの外周を精密に把握する方式です。コレット形状は、把握するワークの軸部分をコレットに入れ、その状態でコレットが(油圧やエアーシリンダで引っ張られて)しぼむように把握します。よって、ツーリングによりコレット付近までの研磨加工が行え、ケレが無くてもワークを回転することが出来るので量産にも向いています。
小径部品や量産ワークなど、高い同軸精度が求められる場面で重宝されます。

メリット・デメリット

✅ 把握精度が非常に高い

✅ 芯振れが小さく、加工精度が出しやすい

✅ ケレレス仕様に出来るので、量産加工(自動化)に向いている

❌ 把握できる径に制限があり、コレットの段取り替えが必要

❌ ワークの前工程の寸法管理は1/100mm単位で必要

コレット取り付け(段取り)仕方により把握力が変わる可能性もあり、管理が必要

ある程度の専用機とした機械になる

適用例

小径シャフトや精密部品など、高精度を要求されかつ自動化が必要なワーク。


④ 両センター駆動方式(ライブセンター駆動)

特徴

ワークの両端に設けたセンター穴を使い、主軸&心押しセンターでワークのセンター穴を押さえながら、そのセンター自体が回転することでワークを駆動する方式です。専用の装置を使います。

メリット・デメリット

✅ ケレをかける必要がなく、自動化が容易

✅ 多少の汎用性があり、異なったワークでも加工が可能

✅ 小径のワークの場合は、主軸台側だけの駆動でも可能(心押台側はライブセンター)

❌ ワークの剛性やセンター穴のサイズにより、推し力を管理する必要あり(ワークの変形や研削中にセンターが滑って回らなくなるなど)

❌ センター穴が必要(出来るだけ大きい方がいい)

❌ 機構が複雑で初期コストがかかる

❌ センターの振れが加工(振れ)精度に大きく影響するためセンター穴の管理が必要になることも

適用例

自動化かつ高精度加工を要するワーク、把握による変形を避けたいケース。


まとめ|ワーク駆動方法の選択は加工品質のカギ

円筒研削盤でのワーク駆動方法は、単に「回ればよい」という話ではありません。

どの方式を選ぶかによって、加工精度・段取り時間・ワークへの負荷・安全性などが大きく変わってきます。

  • ケレ回し → シンプルで小~大径シャフトの汎用性に長けている
  • チャック → 汎用性が高く短尺や異形、重量ワークにも対応
  • コレット → 自動化かつ小〜中径ワーク向け
  • 両センター駆動 → 自動化かつ小〜中径ワーク向け

現場の状況やワーク形状に応じて、最適な方法を選択していくことが、効率的な加工の第一歩です。


以上、今回はワークの駆動方法についての様々な仕様を紹介しました!他にも、ダイヤ型バネ式チャック駆動、フェースドライブ駆動などありますので、順次更新していきたいと思います。

ご質問や現場でのお悩みがあれば、ぜひコメントでお聞かせください!

新米えんじにあ

コメント

タイトルとURLをコピーしました