円筒研削盤あるある不具合(振れ、楕円不具合編)

 振れや楕円(だえん)など、よくある現場で研削物で発生する不具合を上げさせてもらいます。研削加工方法はごく一般的な “固定センター基準(ワークがセンター面上を滑り)で回転させて研磨” する場合について書きます。

振れ確認の仕方について

【調査方法】

まず、両センターで加工物を支持した状態にします。センターに近いところの加工物に1μピックを当てます。加工物を手で押したり引いたりして手を離してピックの値を確認する。これをもう一方のセンターに近いところでも行い確認します。

【判別】

もしも、ピックの値が数ミクロンでも動いたままになったら、加工物がセンターの上で動い(ずれ)ている証拠になります。

この場合の原因は、①ワークのセンター穴が楕円になっている、②固定センターが動いている、③センターの先端が加工物のセンター穴の底に当たってしまっている、④センター自体の形状が悪いの可能性があるのでそれぞれ順番に確認していきます。

ワークのセンター穴が楕円になっている!?

 これはよくある楕円不具合の代表的原因のパターンになります。

【調査方法①】

センター先端に色ペンで色を付けて、加工物をセットして45度くらい加工物を回す。センター先端の色が落ちたところを確認。

【判別】

色が落ちた場所が、見た目で180度反対側の2点くらいだとするとセンター穴が丸じゃなくて少し楕円になっている証拠になります。もしも3箇所以上ありそうな感じなら、センター穴の問題はないことになります。

【詳細解説】なぜ楕円になってしまうの?

どのような理由で楕円になるかというと、センターで支持されたワークはセンター面上を回りますが、横から砥石で研削中に押された状態になります。もしもワークのセンター穴が ”楕円” になっていると、ワークはセンター面上で ”2点” でしか支えられていないため、センターと当たっていない箇所が砥石側に向いた時に砥石からの押し圧で逃げるようにずれてしまいますこれを繰り返しながら加工を行うため、加工した面も同じように楕円になってしまうと言うわけです。

固定センターが動いている!?

【調査方法】

センター先端に1μ測定用ピックを当てて、センター自体を押したり引いたりしてみる。

【判別】

センターを押したり引いたりして、手を離してもピック(センター)が動いたままで ”0” に戻らない状態になっていると、主軸台(または心押台)のセンターがきちんとセンター穴に入ってなくて固定されていない可能性があります。この場合は、センターを一旦抜いて別のセンターで再度確認しましょう。センターの問題ではなく、主軸台などのセンター穴の問題ならば、センター穴の清掃かセンター穴再研磨の修理となります。

センターの先端が、加工物のセンター穴の底に当たっている!?

【調査方法①】

センター先端に1μ測定用ピックを当てて、センター自体を押したり引いたりしてみる。

【判別】

センターを押したり引いたりして、手を離してもピック(センター)が動いたままで ”0” に戻らない状態になっていると、主軸台(または心押台)のセンターがきちんとセンター穴に入ってなくて固定されていない可能性があります。その場合、センター穴の深さが図面通りか確認し、センターの先端が底突きしてしまわないか確認しましょう。もし、先端部分がカットされている都合の良いセンターをもっている場合は、それで確認をしてみると良いと思います。

【調査方法②】

光明丹やマジックペンでセンター先端に色をつけ、両センターで加工物を支持する。手で加工物を回転して色が取れたかどうかを確認する。

【判別】

色がほどんど取れていなければ、両センターで加工物は支持できていないので、底突きしている可能性が高いです。ワークのセンター穴を確認するか、ワークのセンター穴を底突きしないセンターを準備しましょう。

センター自体の形状が悪い!?

【調査方法】

これまで上記に記した内容で問題が見当たらない場合は、センター自体を疑ってみましょう。しかし、センター自体の調査は、真円度測定器でセンター先端の真円度を測定してみましょう。
もしも、真円度測定器がない場合は、チャックのついた機械でセンターを掴んで回転させて1ミクロンのピックで先端の振れがどのくらいかを確認しましょう。

【判別】

もしもセンターの真円度が大きく悪く、綺麗な丸になっていないのであれば、そのセンターは交換して再度別のセンターでトライしましょう。

しかし、上記の確認を行うよりも別のセンターがあればセンターを交換して確認した方が早いです‼️


以上が、研削盤での ”振れ” に関する不具合時の対処方法になります。振れと言っても原因は様々で、うまく加工するためには確認するところが色々あります。しかし、これらを知って理解していればいざって時に ”あ〜そうなんだね。ちょっと待ってよ〜” って、調査・対処に困らなくなります。何事も経験ですが、作業効率UPや生産効率UPそして、利益率UPに繋げるためにも常日頃情報収集に努めておくと良いと思います。

今後も皆さんの役にたつ情報をどんどんアップしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

他にもリクエストがあれば、それについて詳しく解説できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上、新米えんじにあ でした。

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