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CBN砥石って何者?
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CBNとは“立方晶窒化ホウ素(Cubic Boron Nitride)”の略。天然にはほとんど存在しないけど、人工的に作られた超硬い素材で、硬さはダイヤの次。鉄系の材料と相性が抜群で、特に硬度の高い鋼材をガッツリ削る時に本領を発揮します。
普通砥石が“コツコツ努力型”だとしたら、CBNは“天才肌”。負荷をかけても摩耗が少なく、形状保持がとても強いから、寸法の安定性が非常に大きな武器になる砥石です。
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CBN砥石が得意な材料(材質)
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CBNは“鉄系に強い、非鉄に弱い”です。
● ハイス鋼(HSS)
● ダイス鋼(SKD)
● 超硬工具の母材となる鋼
● 焼入れ鋼(HRC55〜65付近)
● 工具鋼・構造用鋼の焼入れ後研削
熱処理して硬くなった鋼ほどCBN砥石は削りやすくなります。逆に、アルミ・銅などの非鉄では使用不可。CBNが化学反応を起こして性能が一気に落ちます。
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CBN砥石を使うメリット
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1.形状保持がダントツにいい
普通砥石は削りながら減って形も崩れてしまいます。でもCBNは摩耗が極端に少ないです。
寸法が安定しやすい → 調整が楽 → 停止位置で寸法が決まるので繰り返し加工もお手のもの。
2.ドレスの頻度が劇的に減る
普通砥石は「削る→減る→ドレス」がセット。
CBNはドレス頻度が(摩耗による形状変化が)圧倒的に少ないから、段取り時間も生産性もめちゃくちゃ良くなります。
3.研削スピードが上げやすい
発熱が少なく、研削抵抗も安定しているため、容易に加工条件を上げやすいです。
4.砥石の寿命がとんでもなく長い
普通砥石が“数週間〜数ヶ月”なら、CBNは“数ヶ月〜年単位”もザラです。
値段は高いが寿命は桁違い。
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CBN砥石のデメリットも知っておこう
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● 初期投資が高い
普通砥石の数倍〜数十倍。最初はビビると思います。
● 研削音で不具合が判断しづらい
普通砥石みたいに“音でわかる(判断)”がしづらくなる。
● 条件が悪いと焼けやすい
「CBNなら焼けない」ってことはありません。
冷却不足、周速度不足、切り込み過多で普通に焼けてしまうので注意。
● 舐めるような軽い研削は苦手
軽い研削は、砥石が硬すぎて引っかかりが弱くなるので、削れにくい傾向が出ます。
“軽研削でピタッと寸法を合わせる”には少し慣れが必要。
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CBN砥石の代表的な構造
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CBN砥石には大きく2タイプがあります。
① レジンボンド(樹脂系)
柔らかめで、切れ味に振ったタイプで、焼入れ鋼の仕上げに◎です。
② メタルボンド(金属系)
耐久性は最強。その代わり切れ味はやや硬く、“ガッツリ削る”ときなどCBNといえばこちらの砥石が主流かなと思います。
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CBN砥石を使うときのポイント
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・冷却水(クーラント)はケチらずしっかりかけること。メーカーでは専用のノズルを準備します。
・周速度は高めに設定する。普通といしが33〜45m/sに対して、CBN砥石は60〜120m/sと桁違いの仕様となります。
・ドレス頻度は控えめとすること。砥石表面がテカテカしてきて反射しているような(ツルツル)感じになってきたら、ドレスタイミングかなと。
・砥石が硬い=機械のスペック(砥石モーター容量、クーラント量、ドレッサーなど)が必要になるので検討段階で仕様をしっかり検討すること。
CBNは一度条件がバチッとハマると、思った通りに高精度加工が進みます。
逆に、条件が外れると「焼け祭り」が始まるので、最初の立ち上げだけは慎重にする必要あり。
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まとめ
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CBN砥石は、円筒研削の現場を “効率化の別次元” に連れていってくれる道具です。
硬い鋼材を高精度で仕上げるなら、(時間をかければ少しづつ削れるけれど)普通砥石ではもう太刀打ちできない領域のものに対応できます。
ただし、適材適所というように、万能ではないし、条件の最適化は絶対に必要です。
現場の研削に「安定」と「高速化」を求めるなら、CBN砥石は強力な味方になるので知っておきましょう!!
今回は、CBN砥石についてまとめてみました。次回は、CBNのドレス方法などにも触れてみたいと思います。
ご購読ありがとうございました。
新米えんじにあ

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