円筒研削盤での加工において、「砥石の選定」は超超〜重要な要素です。砥石はただ削るだけでなく、加工精度・表面粗さ・加工時間・コストに直結するため、目的に応じた選択が不可欠です。
今回は、よく使用される砥石5種に加え、現場で使われるその他の砥石についても特徴と適した材質をまとめました。
普通砥石(A・WA)
特徴:
- 酸化アルミニウムを主成分とし、焼き固めた砥石。
- 一般的な鋼材向けで、基本的にどんな材料でもまずはこれで削れる万能といし。
- コストが安く入手性が高い。一般形状なら納期も早い!
⚠️注意点
- 連続加工で、定期的にドレッシングが必要(面粗度や形状ダレが発生する)
- 向いていない材料は、SUS材や生材など粘い材料は不向き
相性の良い材質:
- 炭素鋼(S45Cなど)
- 合金鋼(SCMなど)
- 工具鋼(SKなど)
CBN砥石(立方晶窒化ホウ素)
特徴:
- 超硬質で摩耗しにくく、といしの形状維持に優れる。
- 高速研削や連続加工(大量生産)に最適。
- ドレッシング頻度が少なく済む(数百本〜千本以上も可能)。
⚠️注意点
- ドレス直後は砥石の砥粒がボンドから出ていないので、削れにくくなる
- コーナーRのあるアンギュラ加工では、R形状が数本で崩れるためにドレスが頻繁に必要になるが、ドレス直後の加工しにくくなる特徴から向かない。
相性の良い材質:
- 高速度鋼(HSS)
- 焼入れ鋼(HRC60以上)
- ベアリング鋼(SUJ2)
3. ダイヤモンド砥石
特徴:
- CBNよりも硬度が高い。
- 非鉄金属やセラミックなど、削りにくい材料向け。
- 焼付きが起きにくい。
⚠️注意点
- 基本、砥粒番手が小さいので、多く削ることには向かない
- ドレスは生材(S45C材など)をトラバース加工で削るなどボンドを落とすような方法になる
- といし周速を20m/sあたりまで減速して使用する(といしモータにインバータが必要)
相性の良い材質:
- 超硬合金(WC系)
- セラミックス(アルミナ、ジルコニア)
- カーボングラファイト
- ガラス、石英
4. GC砥石(グリーンカーボランダム)
特徴:
- 炭化ケイ素系の砥石で脆性があり、刃先が鋭い。
- 被削材に食い込みやすく、研削抵抗が少ない。
⚠️注意点
- といしが硬くてダイヤがかけてしまうなどがありドレスしにくい(ダイヤモンドも強力なダイヤにするか、専用のロータリーダイヤが必要)
相性の良い材質:
- 鋳鉄(FC、FCD)
- 非鉄金属(アルミニウム、銅)
- 軟質材料(真鍮、青銅)
5. セラミック砥石(SG砥石など)
特徴:
- 微結晶セラミック砥粒を使用。
- 熱に強く、自己シャープ性に優れる。
- 高精度・高能率加工に対応。
⚠️注意点
- といしが硬くてダイヤがかけてしまうなどがありドレスしにくい(ダイヤモンドも強力なダイヤにするか、専用のロータリーダイヤが必要)
相性の良い材質:
- 焼入れ鋼
- 難削材(インコネル、ハステロイなど)
- ステンレス鋼(SUS304、SUS440など)
その他の砥石
レジノイド砥石(Resinoid)
- 特徴:レジンボンドを使用し、弾性があり目詰まりしにくい(砥粒間の間が空いている)。
- 相性の良い材質:焼入れ鋼、非鉄金属、ステンレスなど
ビトリファイド砥石(Vitrified)
- 特徴:ガラス質ボンドで硬く、形状維持性に優れる。
- 相性の良い材質:一般鋼材、焼入れ鋼など
エラストマ砥石(ラバーボンド系)
- 特徴:バリ取りや仕上げに使用。柔軟性があり、ワークの変形を抑えられる。
- 相性の良い材質:アルミ、銅、真鍮などの軟質金属
まとめ
砥石種類 | 特徴 | 相性の良い材質 |
---|---|---|
普通砥石(A・WA) | 標準タイプで使いやすい | 炭素鋼、合金鋼、工具鋼 |
CBN砥石 | 高硬度で耐摩耗性が高い | 焼入れ鋼、HSS、SUJ2 |
ダイヤ砥石 | 超硬材に対応 | 超硬合金、セラミック、ガラスなど |
GC砥石 | 脆性が高く切れ味鋭い | 鋳鉄、非鉄金属、真鍮など |
セラミック砥石 | 高能率で高精度 | 焼入れ鋼、難削材、ステンレスなど |
レジノイド砥石 | 柔軟で詰まりにくい | 焼入れ鋼、非鉄金属、ステンレス |
ビトリファイド砥石 | 形状維持性が高い | 一般鋼材、焼入れ鋼 |
ラバーボンド砥石 | バリ取りや面取りに最適 | 軟質金属(アルミ、銅など) |
砥石選定は、ワークの材質(硬度など)・研削目的(面粗度など)・設備仕様(周速など)を総合的に考慮する必要があります。選び方一つで仕上がりや作業効率が大きく変わるため、まずは色々なといしメーカーへ問い合わせしてといしを選定してもらい、現場でのテストを経ていくことが重要です。
といしメーカーへ問い合わせるときに必要な情報は、材料の材質とサイズや取りしろ、必要な面粗度、砥石の周速などを準備しておいておくとスムーズです。
以上、今回は研磨で使用する砥石の種類と特徴5選をテーマに簡単な解説を行いました。今後も引き続き色々なテーマで情報共有していきますので、よろしくお願いいたします!
新米えんじにあ
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