こんにちは!今回は「研磨」について、その奥深さを私の経験を踏まえて解説していきます。
一言で「研磨」といっても、その目的や手段、使われる設備は多岐にわたります。精密部品の寸法出しから、外観仕上げ、さらには切断までがあり、単に「削る」だけが研磨じゃないんです!
それでは、実際の現場で使われる主な研磨の方法を紹介しながら、それぞれの特徴と用途をまとめてみました。
1. 【削って仕上げる】砥石で表面を削る
- 刃物:回転砥石
- 用途:寸法出しと表面粗さの両立
- 主な設備:円筒研削盤、平面研削盤など
いわゆる「研削加工」にあたる部分です。砥石が高速回転しながらワークの表面を微細に削り、所定の寸法に仕上げていきます。精度も表面粗さも求められる部品には欠かせない加工で非常に多くの研磨加工に使用されています。
2. 【見た目重視】砥石で表面を磨く(バフ研)
- 刃物:細かい砥粒の回転砥石(#1000以上〜)
- 用途:鏡面仕上げ、外観品質向上
- 主な設備:バフ研削盤
こちらは寸法よりも“見た目”が重視となる研磨。とはいえ、実は精度も求められることがあります。鏡のようにピカピカに仕上げる工程は時間がかかりますが、製品の完成度をぐっと高めてくれます。
3. 【特殊用途】ブラシで表面を削る
- 刃物:砥粒を含んだ回転ブラシ
- 用途:表面の平坦出し+軽度の寸法調整
- 主な設備:石材加工機など特殊設備
一見軽そうな処理に思えますが、実は結構“削る力”があります。主に非金属や石材、あるいは形状に合わせた表面整形などで使用され、ブラシとはいえ侮れません。
4. 【精密切断】ワイヤーに砥粒を載せて削る
- 刃物:ワイヤー+遊離砥粒(スラリー)
- 用途:切断しながら高品質な面を確保
- 主な設備:ワイヤーソー
これは主にシリコンウエハーなど、精密素材を大量かつ高精度に切断する工程で活躍します。砥粒入りのスラリーとワイヤーの組み合わせで、削りながら切るというハイブリッドな研磨法です。
5. 【ショット仕上げ】砥粒を噴射して仕上げる
- 刃物:遊離砥粒(サンド)
- 用途:バリ取り、面取り、表面処理
- 主な設備:サンドブラスト機
高圧で噴射される砥粒がワークにぶつかり、不要なバリを落としたり、面取りしたりします。加工後の仕上げ工程や表面処理で定番の技術で、表面にこびり付いた不要なもの(錆など)の除去にも使われたりします。
6. 【電解研磨・超音波研磨】最新技術も登場中
- 用途:微細部の仕上げや複雑形状の内部処理
- 主な設備:電解研磨装置、超音波仕上げ機
最近は、より高精度・非接触で行う研磨技術も注目されています。たとえば電解研磨では金属表面を化学的に滑らかに整えたり、超音波を使って微細部を磨いたりします。これらは医療機器や半導体部品などで活躍しています。
▼まとめ:研磨は“磨く”だけじゃない!
こうしてみると、研磨とは「削る」「磨く」「整える」「仕上げる」「切る」といった、さまざまな目的で使われる加工技術になっています。
目的・素材・形状によって最適な研磨方法は変わるので、設備選定や工程設計の際はぜひ今回の内容を参考にしてみて頂ければ幸いです。
今後も現場視点で役立つ加工情報を発信していきますので、引き続きよろしくお願いいたします!
新米えんじにあ
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