こんにちは!今回は、ロータリードレッサーなどに使われるスピンドルの交換修理について、現場でよくある注意点をまとめてみました。
スピンドルはご存じの通り、非常に繊細で高精度なパーツです。交換や修理をする際には、少しの不注意が後々のトラブルにつながることもあります。そこで、実際の作業現場で役立つポイントをいくつかご紹介します。
スピンドルの取り外しは“真っすぐ、スーっと”が基本
スピンドルを外す際、少しでも傾けたまま無理に叩いたり引き抜いたりすると、内部のシャフトがハウジングとかじりダメージを与えてしまう恐れがあります。
「スムーズに、まっすぐ引き抜く」が鉄則です。もし固着している場合は、いきなり力をかけず、まずは温度差や潤滑油で試して、ほんの少し動かすところから始めて少しづつ丁寧に根気よくいきましょう。
取り付け前に「芯出し」は必ず確認
新しいスピンドルを取り付ける前には、ハウジングや取り付け面の清掃を必ず行いましょう。ちょっとした汚れや錆、キズがスピンドルの振れ精度に大きく影響しますし、次回の交換が非常に困難になります。
また、スピンドルを取り付ける際、仮締めの段階で芯出しを行い、振れを最小限に抑えることが重要です。目盛が1ミクロンか2ミクロンのピックを使っての振れ確認は、ケチらず確実に行いましょう。
締結トルクと順番を守る
スピンドルの取り付けボルトは、所定のトルクで締めること。そして、対角線上に順番よく締めていくのが基本です。まずは1周目は軽く締めていき、2周目は少し強くして、3周目で所定のトルクにすると取り付け面同士が綺麗に密着します。
ここを間違えると、せっかく芯出ししても金属部品の内部へ歪みが出てしまい、スピンドルの消耗や異音などの不具合につながります。マニュアルがある場合は、指示に忠実にしましょう。
グリスや潤滑の確認も忘れずに
グリスアップが必要なタイプのスピンドルは、使用するグリスの種類や量も指定があります。
“とりあえず手元にあるグリス”は絶対NG。特に高速回転するロータリードレッサーなど、潤滑の状態が寿命を大きく左右します。
例えばですが、低速回転は粘度の高いグリスなどを使用します。高速回転では粘度が低いグリス(手の温度で溶けてしまうくらい)を使用していたり、仕様によっては潤滑油だったりオイルミストタイプのスピンドルもあるので良く確認しましょう。
交換後は、必ず試運転と状態確認を
取り付けが終わったら、空転での試運転を行い、異音や異常振動がないかチェックしましょう。
できれば振動計や温度計も使って、初期の状態を記録しておくと、後のメンテにも役立ちます。
一口メモ:私の経験
高速スピンドルの交換を実施した時の話です。お客様から支給していただいたスピンドルを交換後に試運転したら、少し大きい振動がありました。はじめ「え!!?」って感じで慌てふためき、原因の特定をしました。まず、スピンドルの振れチェックするとほぼ1μ以下で問題なし。プーリーも綺麗に清掃しているので問題なし。モータ単体で回転させても振動なし。でベアリングか?と思い、分解するしかないかと思っていました。
その時同僚から、「慣らし運転してみよう」、との意見。1時間以上回してから確認すると振動がほとんど収まっていました。原因は、お客様から支給していただいたスピンドルは結構な期間寝かせてあり、内部の潤滑油が乾いていたのが原因のようでした。今までの経験ではなかった不具合で焦りましたが、いい経験をさせていただきました!!(冷や汗かきましたが😅)
まとめ:焦らず、正確に
スピンドルの交換修理は、ただの部品交換ではなく、機械自体の加工精度に関わる作業です。
手間を惜しまず、段取り良く、焦らず丁寧に作業することが何より大切ですね。ほんと作業には細心の注意を惜しまず、丁寧によく考えながら作業が大切です!
それでは、今日も安全第一で良いメンテナンスを!
ご購読ありがとうございました。
新米えんじにあ
コメント