【円筒研削盤の主軸台のトラブル3選】現場でよくある不具合と対策

こんにちは。今回は、円筒研削盤の「主軸台(ヘッドストック/ 工作物を回転させるユニット)」に関するトラブル事例についてご紹介します。

私自身、現場で何度も主軸台のトラブルに悩まされてきましたが、同じような悩みを抱えた方の参考になればと思い、記事にまとめてみました。

主軸の回転ムラ(回転が安定しない)

症状:

加工中にワークの表面粗さが不安定になったり、目視で加工中の火花が不安定になる。加工した工作物(ワーク)に振動したような跡や周期的な筋が出る。

原因例:

ベルトの劣化や緩み


ベルトがプーリーと滑って、モーターの回転が工作物(ワーク)へ伝わっていない。

対策:
• ベルトの張り調整、交換
どのベルトかを調べる。1年以上使用していたら交換を視野に。使用期間が長いとプーリーに汚れや錆がついているのでそれが原因の場合があります。掃除をしてください。

モーター側の不具合や回転異常

主軸台に使われているモーターの回転制御(アンプやシステム部品関係)の不具合で回転が一定になっていない。発生は不安定・不定期で再現性がなかったりすることがある。

対策:
• 主軸のアンプの確認や点検
アンプ側で異常があればその内容をメーカーへ問い合わせれば原因はほぼ掴めますが、そうでない場合、電気部品(リレーなど)のみの交換、アンプのみの交換、モーターのみの交換を試して症状が再発するか確認する方法になると思います。少し時間がかかりますが電気部品の不具合は致し方ありません。

ベアリングの摩耗

工作物に異常が見られる場合がほとんどで、面粗度や加工後の外観に模様が出るなどが発生。異音がする、振動しているなどが挙げられる。

対策:
ベアリングの定期的な交換(稼働時間や異音を目安に)。基本的には振動しているかの確認が取れるかどうかです。使用期間で判断するか、安全を確認した上で金属の棒を使って、耳と主軸を繋げで音を聞いてみる方法があります。

実際、振動で苦労していた時にベルトの張力が原因だったことがありました。簡単な点検が大きな品質改善につながります。

主軸がロックして回らない(または重い)

症状:

主軸が手で回らない、もしくは主軸回転入時に過電流エラーになる、。

原因例:

主軸内部のベアリング焼き付き

対策:
ベルトを外しも回らない場合は、この原因の可能性あり。部品交換となるので、メーカーへ問い合わせが必要。また同時にオイル供給ラインとフィルターの定期清掃。

ブレーキ装置の固着

対策:
主軸台の仕様によってはこの機構があります。油圧かエアーで動作するはずなので、動作確認してこの原因かどうかを見極めてください。不具合がここであればブレーキ機構の分解整備(可動確認)となります。

クーラントの侵入によるサビや異物混入

対策:
主軸前側を分解してみて、内部が大きく汚れていたらこの原因によりベアリングが回らなくなっていると考えられます。駆動部分ではどうしても隙間からのクーラント(+スラッジなど)汚れが入り込みやすいです。シール機構がありますが、経年劣化でダメになっていることがありますので、定期的な主軸内部のオーバーホールを行いましょう。

チャックワークで加工した時の芯が出ない(偏芯が大きい)

症状:

3爪チャックや4爪チャックで加工した時にワークの真円度が出ていない。端面との直角も不安定。

原因例:

主軸の芯ずれ(クラッシュや衝撃による)

対策:
ダイヤルゲージを使って再度芯出し確認後、ゆっくりと加工を実施。それでも不具合があれば、センターの損傷を疑い、交換してみる。それでもダメなら、ダイヤルゲージをチャックへ当て、チャックを押し引きしてベアリングのガタツキを確認。押した後にほぼ1ミクロン以内に戻らない場合は、ベアリングの不具合を疑ってください。

チャックの取り付け不良や摩耗

対策:
ダイヤルゲージを使った芯出し確認と修正。チャック自体をきちんと主軸に取り付けられていない場合は、正しい製品の加工は行えません。

主軸台自体の据付不良またはズレ

対策:
チャック自体のガタツキがないか確認。またセンターが主軸の穴にきちんと密着しているかの点検(ピックを当てて手で押し引きして動くかどうかの確認をする)。


まとめ

円筒研削盤の主軸台は、「回す・支える・正確に固定する」という非常に重要な役割を担っています。ちょっとした異常でも加工精度(真円度、同軸度、振れ精度など)に大きな影響が出るため、日頃からの点検・メンテナンスが何より大切です。

今後もこうした現場で役立つ情報を発信していきますので、よろしければブログのブックマークやシェアもお願いします。

新米えんじにあ

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