アンギュラ円筒研削盤は、外径と端面を同時に加工できる非常に便利な設備です。特に、ワークの加工時間短縮や工程集約に大きく貢献します。しかし、その利便性の裏には、注意すべきポイントもいくつか存在します。
今回は、外径と端面を同時に加工する際に、砥石先端でワークの「コーナーR(丸み)」を成形する場合の注意点について詳しく解説します。
■ 砥石先端でコーナーRを成形するリスク
アンギュラ研削では、砥石の先端を使ってワークのコーナー部(外径と端面の交差部分)にR形状を付けることができます。ただし、この方法には大きな弱点があります。
それは、砥石の摩耗によって、R形状の精度が崩れやすいという点です。特に先端部分は、摩耗しやすく、加工すればするだけだんだんダレてRが大きく変形してきます。このように形が変わるとワークのコーナーRの精度にも直接影響が出てしまいます。
■ 頻繁なドレスが不可欠=砥石とダイヤモンドの消耗が激しい
R形状の精度を維持するためには、こまめにドレスを行って砥石の成形を行う必要があります。
その結果、砥石の消耗はもちろん、ドレス用のダイヤモンド工具も早く消耗してしまいます。
さらに厄介なのは、ダイヤモンドの先端が摩耗してR形状が崩れてしまうと、正確な砥石形状も再現できなくなるということです。つまり、「砥石を整えるための道具自体が不正確になる」リスクがあるのです。
■ CBN砥石を使った場合でも同様の問題が
「それなら摩耗に強いCBN砥石を使えば良いのでは?」と考える方も多いでしょう。
確かにCBN砥石は通常の砥石に比べて摩耗に強く、長寿命です。
しかし、CBN砥石でも先端のコーナーRは、意外とすぐに摩耗して崩れてしまいます。
そのため、CBN砥石を使用した場合でも頻繁なドレスが必要となるので、CBNのメリットである「長寿命」や「高効率加工」が活かせません。
このため、CBN砥石ではコーナーRの成形は原則として避けることが推奨されています。
■ では、どうすべきか?—実用的な対策とは
以下のような方法や対策を検討することで、作業効率や精度を維持します:
- 普通といしでドレス短いサイクルで行う ドレス後、数本連続加工をしてワークのR形状精度(砥石の持ち)を確認し、ドレスのインターバルを管理する。
- 定期的なダイヤモンドの交換・管理 ダイヤモンドドレッサーのR形状も定期的にチェックし、必要に応じて交換・再成形することが重要です。
■ まとめ
アンギュラ円筒研削盤を使って、外径と端面を同時に加工する場合、砥石先端によるコーナーRの成形は一見効率的に見えますが、精度維持と工具の寿命に大きな課題があることを理解しておく必要があります。
頻繁なドレスとそのための管理コスト、さらにはCBN砥石での制約も考慮し、最適な加工方法の選定が、安定した加工品質の維持には不可欠です。
以上、【アンギュラ円筒研削盤の加工注意点】コーナーR加工に潜む落とし穴とは? でした!ご購読いただきありがとうございます。引き続き現場で得た知識を公開していきたいと思います。
新米えんじにあ
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