円筒研削盤を使って仕上げたのに、「どうも形が丸くない」「図面通りの精度が出ない」と感じたことはありませんか?
今回は、円筒研削でよくある「真円度が出ない」原因と、その対策について、現場目線でわかりやすく解説したいと思います。
そもそも「真円度」ってなに?
簡単に言うと、「円がどれだけきれいな丸になっているか」を数値で示したものです。
円筒状の部品(たとえばシャフトなど)では、これが崩れると、部品が回転したときにガタついたり、音が出たり、最悪の場合は早期摩耗につながってしまいます。
真円にならない、5つのよくある原因
では、なぜうまく丸くならないのか。現場でよくある5つの原因を紹介します。
ワークのセンタ穴不良
ワーク(加工する部品)の両端をセンターで支えている場合、このセンター穴自体が綺麗な丸になっていないと、ワークが回るたびにブレ(動い)てしまいます。そのブレがそのまま真円度の不良につながります。
ポイント対策:
- センタ穴を目視確認(潰れていないか?)
- 段取り時にワークのセンター穴付近をテールストックのセンターで突いてしまってなかったか?
- センタ穴の真円度を測定確認(楕円形状になっていないか?)
砥石の削れ方が偏っている(ドレッシング不良)
研削するための砥石は、使っているうちに削れ方に偏りが出てきます。そこで「ドレッシング」と呼ばれる、砥石の形を整える作業が必要です。これがうまくできていないと、ワークにムラが出ます。
ポイント対策:
- ドレッサーの固定を確認(ガタ付きがないか?)
- ドレッシングの回数や方法を見直す
- ドレッサー自体の摩耗チェックも見落とさない
3. 回転数の“合いすぎ”で波打ち?
意外と見落とされがちなのが、ワークと砥石の回転数の「同期」です。
もし両者の回転数がピッタリ揃ってしまうと、接触点が常に同じ場所になり、ワークの表面に周期的な「凸」が無数にできてしまいます。これも真円度不良の原因になります。
ポイント対策:
- ワークと砥石の回転数が「整数比」にならないように調整
- (砥石回転数が一定の場合)ワーク回転数を少しズラして、不規則な接触を作ると◎
4. 機械のちょっとしたガタつき
研削盤本体のスピンドルやテーブルにわずかなガタつきがあると、どうしても加工にムラが出ます。これは、長年使っている機械で特に起きやすいです。
ポイント対策:
- 定期的な精度チェック(振れ測定やガイドの目視点検)
- 少しでも異常があれば、ベアリングやスライド部のメンテナンスを検討(もしくはメーカーへ問い合わせ)
5. 砥石のバランスが崩れている
砥石が回るときに振動しているようであれば、それはバランス不良の可能性があります。これは真円度だけでなく、面粗さにも影響します。
ポイント対策:
- バランス取りを定期的に実施
まとめ:「丸くない」には、ちゃんと理由がある!
一見よくある“研削のムラ”でも、そこにははっきりとした原因があります。
今回紹介した5つのポイントを見直すことで、真円度不良の対策につながるはずです。
ちょっとした段取りの見直しや、日々のチェックが、加工精度をグッと高めてくれます。
「なんか変だな?」と思ったら、まずは落ち着いて一つずつ確認してみてくださいね。
以上、今回は真円度不良について記事をまとめてみました。現場での不良の低減につながれば幸いです。今後ともどしどしブログアップしますので、よろしくお願いいたします。
新米えんじにあ
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